春陽展は日本美術史に多くの足跡を残し、新たな画家・版画家を輩出している公募展です。

第98回春陽展 絵画部 会員展示会場

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春陽会では、公募作品の審査は公明正大を信条とし、原則として会員の全員参加で公平に行われています。しかし第98回展では、新型コロナウイルス感染症予防と拡散防止のため、審査室への入室人数が制限され、開闢以来初めてとなる、代表審査員制を取らざるを得なくなりました。そのため今回展のみの緊急措置として、可能な限り会員の総意を反映させるべく、選挙で選出された役員と各研究会の代表者の35名で審査を行いました。

審査は4月2日、3日の二日間に亘って行われました。搬入者数395名、搬入点数1096点の公募がありましたが、コロナ禍の影響で出品を控えた方も少なくなかったようです。しかし逆に、初めて出品された方は例年にも増して多く、厳しい状況の中でも嬉しい出来事でした。その結果、入選者数377名、入選点数396点、内賞候補者32名と、今年より制度が刷新された会友賞の候補者26名が決定しました。

続く授賞会議は日を改めて同12日、賞候補作品のみを並べた会場を設営して、会員全員による投票で行われました。審議は収容制限の多い美術館講堂で行われ、各賞が満場一致で決定しました。受賞者は発表のとおりです。

会場の展示では、入選点数が例年より若干少なかったこともあり、二段掛けの陳列は2点入選作品のみに限定できました。そのため、それぞれの作品をじっくりと鑑賞できる展示になったではないでしょうか。

各展示室では、第1室には前回の受賞者と新会員を中心とした、いわば旬の作家を並べて今の春陽会を印象付ける展示にしました。続く第2室からは傾向やサイズなどを考慮しながら、来場者が鑑賞しやすい展示を心がけたつもりです。また、公募作品を展示した展示室では、広い空間が取れる順路の折り返しスペースに受賞作品を中心に並べましたが、さすがに見ごたえのある作品揃いでした。

全体的な印象としては、昨年の第97回展が中止になったせいか、それぞれの作品には2年分の力が込められているように感じられ、例年以上に充実していたように思います。来場された皆様は、それぞれの作品の魅力を十分に堪能できたのではないでしょうか。

コロナ禍の厳しい状況の中で、春陽会は「最低でも開会」を合言葉に努力してきました。その甲斐あって、予定されていた様々な催事は断念しましたが、作品公募と開会は達成されました。しかし、3度目の緊急事態宣言が発出され、会期を2日残して美術館が閉鎖されました。芸術は作品が完成して終わりではなく、鑑賞者がいて成り立ちます。会期を全う出来なかったことは残念ですが、昨年の無念を思うと、出品された皆さんが発表の場を得られたことは、何ものにも代え難い喜びだったのではないでしょうか。                    

絵画部審査主任 三浦明範

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