ギャラリーコンサートの様子
第95回春陽展ギャラリーコンサート
95回展を迎え、4月29日(日)14時より春陽展会場2室にて、チャリティーイベントの一環としてギャラリーコンサートが開催された。「絵と音楽のコラボ」と題して行われてきたコンサートは毎年様々な分野で活躍する演奏者をお招きし、6回目となる。
今回は「手風琴と口風琴の演奏会」。アコーディオン奏者、熊坂路得子氏と鍵盤ハーモニカ奏者、宮原裕子氏による女性デュオ演奏となった。晴れわたった日の午後、コンサートを楽しみに訪れた方々で溢れ、聴衆は100名を超えた。
プログラム最初の曲ユベール・ジローの「パリの空の下」が始まると優しく軽やかに奏でる演奏に会場が包まれた。桑山哲也の「哀愁のミュゼット」では、聴衆を情緒あふれる異国の地へと誘う。
シャンソンから一転しクラシックへ。バッハの無伴奏チェロ組曲より「ブーレ」。チェロ演奏の為の曲がお二人の楽器により、別のテイストに表情を変えていく。それぞれ手風琴・口風琴と呼ばれるアコーディオンと鍵盤ハーモニカについて奏者からの説明があり、さらに楽器の魅力に引き込まれる。演奏はパリの香り漂うホセ・パディーラの「すみれの花売り娘」へと続く。
中盤では熊坂氏自身が好きな絵画を元に作曲を手掛けた2曲が披露された。アンドリュー・ワイエス作品からの「ヘルガ」、ピカソ作品からの「旅芸人」。そのオリジナリティ溢れる曲に聞き入った。
曲はタンゴに移行しアストル・ピアソラの「鮫」。野性味あふれるリズムとメロディが印象深い。そしてアンニュイな雰囲気漂う「新婚旅行」。「リベルタンゴ」もタンゴの魅力にあふれた一曲。
奏者それぞれのカバーやオリジナル曲の最後には崇高なヴァイオリンの為の曲、バッハの「シャコンヌ」が演奏された。音が空間に消えゆく余韻が美しい。聴き手を引き込む表現力にヨーロッパの景色が浮かんでくる。
拍手が鳴り止まず、アンコールへ。曲は武満徹の「小さな空」。日本の原風景を見るような演奏で、心地よく聴衆を魅了し、1時間に及ぶコンサートは音と絵画が融合した時空の中で、余韻を残しながら終了した。
(担当 松宮直子)