ギャラリー・コンサート「絵と音楽のコラボ」
90回展のチャリティーパフォーマンス 「絵と舞踏と音楽のコラボレーション」に続き 91回展はチャリティーイベントの一環として『ギャラリー・コンサート「絵と音楽のコラボ」』と題し、4月27日日曜日12:30から春陽展会場2室に、ヴァイオリンの尾池亜美氏を招いて開催された。座席はすぐに埋まり追加の席が用意されて観客は100人近くに膨れ上がった。
曲は『バッハ:無伴奏ヴァイオリン・パルティータより「シャコンヌ」』会場の空気が一瞬にして変わり、尾池氏の豊かな音色は、静かな深い落ち着いた暖色に、暗い透き通った寒色へと変化して荘厳な音が絵のある空間に響いた。
『イザイ:無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第3番』は氏が多くの色を感じると選んだ曲。半音階的な響きには、絵画の点線面の要素が織り込められていて、絵具の重なり合いや、激しいタッチに代わる瞬間を感じさせる、まさに絵と音楽が融合した張りのある空気になった。
後半の2曲はイギリスのヴァイオリニスト、圭樹・モット氏が加わり2台のヴァイオリンでの演奏となる。『ルクレール:2台のヴァイオリンのためのソナタ』快活な音から、優美なアリアへ 繊細な音が重なり、木々の色へ響き、対面の画面に反響して爽やかな色に変えていった。
『ハルヴォルセン:ヴァイオリンとヴィオラのためのパッサカリア』ヴィオラのパートをヴァイオリンに換えて、息の合った掛け合いは絶妙。主題が変化していく様がドローイングを重ねて現れる不思議な形を連想させる。様々な奏法で形や色が変わり、会場の絵にぶつかり跳ね返り、色に代わって絵画に定着して行った。
準備された4曲の演奏を終えても拍手が鳴りやまずアンコールへ、曲は『モンティ:チャルダッシュ』軽快なメロディーは聴衆を巻き込み手拍子を誘い、感動の余韻にひたった。
尾池氏、モット氏のヴァイオリンの響きは高度なテクニックの中に、瑞々しさと深い音の広がりを感じさせ、聴衆を引きつけた。荘厳な空気から 華やかな音色まで、ギャラリー・コンサート「絵と音楽のコラボ」は春陽展の会場を異空間に変えて1時間のコンサートが終了した。
(担当 西野雅子)