春陽展は日本美術史に多くの足跡を残し、新たな画家・版画家を輩出している公募展です。

第96回春陽展【版画部会場(3F)】

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「2019 第96回展春陽展を終えて」

 第96回展版画部は昨年度を踏襲し定着した新国立美術館3階の会場で42室から51室、受賞者・会員・会友・一般と10室に分け展示構成しています。
 春陽会第100回記念展に向け、盛り上げるべく版画藝術に理解を示した画家達の団体として版画部も絵画部同様、99回展まで賞を一つ多く設けました。 
 入り口を入ると展示42室には受賞者の作品が会場外からも目に入るように壁正面に展示し、印象的になっています。会場の構成は大きめな作品は引いて観やすくなるよう広さのある部屋に、小さめの作品はまとめて並べ展示する配慮をし、構成しています。
 昨今 少子高齢化について社会的にいわれていますが、春陽会でも出品者の減少について話し合われています。様々な事情による会員会友の作品の減少も危惧しています。また会友になるには5回の入選条件。会員になるには賞をとらなければならないという厳しい条件があり、ながい道程です。そのような中、会友、一般共に意気込みがあり質の高い作品がありました。『継続は力なり』 特に会友作品から賞候補者が多く出、年齢は関係ないことをあらためて感じました。『ダイナミックなパンチ力は低いが築き上げられた技術に裏付けられたもの』先人が掲げた春陽会版画部指標のひとつにあるように 驚嘆するような作品ではないが 長年培われた技術 研究会等で切磋琢磨して来た事が蓄積され そして、各々作品は 版画の醍醐味でもある間接的な表現によって、一つの作品の内の世界に自己の時間を刻み 果てしなく続く時の流れとともに己の精神をも映し出されて結集された賜物だと思います。
 入選作品は毎年行われる会場批評会での質疑、会員による丁寧なアドバイスも生かされていることを感じました。
 全体を通し、銅版・木版・平版・孔版など多種多様な技法の作品で充実したものとなりました。そして各部屋担当、陳列主任の協力により、版画部では会員作品を含め、それぞれの展示室壁面を作品の技法や色、額の大きさなど飾り付けバランスをきめ細かく考慮し、本年度も一段掛けで観やすい会場となりました。
 振り返ると、第96回展は年号が平成から令和(5月1日より)となり、節目の年の展覧会でした。無事に終了できましたこと皆様のご協力 感謝、御礼申し上げます。

第96回春陽展審査主任 ウチダヨシエ

 

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