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東京研究会版画部 研究会レポート(2015)

東京研究会版画部の研究会が2回に渡って開催されました。

 

8月1日、東京研究会版画部では、本年度1回目の研究会を、東京銀座の美術家会館にて行いました。

前半は、版画部会員の関野洋作氏による講演でした。「木版画について」というタイトル通り恩地孝四郎をはじめとして、関野先生所蔵の著名作家達の木版画作品を実際に鑑賞しつつ、解説をして頂くという、とても贅沢なレクチャーでした。

木版画作家としての関野先生の先達達への尊敬の思い、また、父、関野準一郎氏と交友のあった作家達のエピソードなど、技法的な説明も含めて、先生の暖かいお人柄溢れるお話を聞くことのできた90分でした。

広く版画を志す私たちには版種に関係なく、創意工夫と独創性の大切さを教えて頂きました。貴重な作品をお持ち下さったことと併せて、関野先生には感謝いたします。ありがとうございました。

 引き続き、当日の後半は研究生持ち込み作品の批評会でした。

担当講師は、版画部会員のウチダ、大久保、片山、関野の先生方にお願いいたしました。技法上の質問、構図について等、皆さんの制作中の迷い、苦労は大変感じられましたが、講師からは「作者本人のオリジナリティーの大切さ」を指摘する声が多かったようです。

 今年も8月の研究会は、酷暑の中ではありましたが、多くの方のご出席、ご協力ありがとうございました。

 

 初秋の風も爽やかな9月5日、東京研究会版画部では、東京銀座にある、春陽会ではお馴染みの「ギャラリーうえすと」を会場にお借りして、本年度2回目の研究会を行いました。

 今回は、版画部会員の水津保美氏を講師にお招きして、「透明水彩、不透明水彩絵の具を一緒に使った例と刷りの実演」というタイトルで実技実演をお願い致しました。

 会場の作業台一杯に広げられた、版、絵の具、刷毛、和紙等、水津先生の普段の道具は、先生自身の制作に合わせた工夫があり、これだけでも我々には興味津々でしたが、透明、不透明絵の具を使い分けて、紙の湿し加減、絵の具の分量、ぼかし、バレンと次々にテクニックを披露して下さいました。

また、「文藝春秋」誌の先生が担当されていたカットを題材に、スミ一色の版の刷りも実演して下さり、色の世界から一変してモノクロ作品の刷りのテクニック、素晴らしさも教えていただきました。研究生の方達には、色刷りの作品を作る方が多く、このスミ版刷りは、大変貴重な勉強になったと思います。

 この他、先生が以前出演なさったNHKテレビの録画DVD鑑賞もあり、島根のアトリエで、山を題材にした木版画についての思い、版画制作に入った頃の思い出などもお話しされていました。

  この日の研究会は、最後に数名の作品を持参した研究生の作品講評会を、水津先生にお願いして終了しました。その後、当日沢山の荷物をお持ちになってお出で下さり、早い時間から準備しておられた水津先生に感謝してのお開きとなりました。先生、ありがとうございました。

 

東京研究会版画部主任 篠田紀美代

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